パドルボード紹介
 2011パドボキャンペーン・レポート
東海エリア・御前崎〜伊良湖岬

遠州灘にパドボでGO!  

 冬の訪れ
 2011年は11月に入っても暖かい日が続いていたので、冬が来るなんてすっかり忘れていたし、まるで考えもしなかった!
西高東低の冬型気圧配置になると、遠州灘は西風にさらされてしまうことは知ってはいたが、今年はまだまだ大丈夫だと
勝手に思い込んでいたのだ。
11月14日までいろいろとスケジュールが立て込んでいたこともあり、東海エリアに向けてパドボキャンペーンに出発したのは、
2011年11月18日・金曜日の真夜中。
東名高速に乗って最初のサービスエリアでひとまず仮眠をとって、朝方4時ごろから本格的に走り始めた。
だって土曜日に高速を走れば料金が半額になるのだから、これを利用しない手はないよね!

ポチポチと雨が降り始めたのが箱根。これは天気予報どおりで、想定内。
御殿場を過ぎたころから雨脚が強くなり、白々と夜が明け始めるころには、横殴りにバシバシと叩きつけるような大粒の雨に
なった。まるで台風のようだ。 これほどの荒れ模様は、想定外。
パドボを6本もルーフに乗せたトップヘビーなハイエースは、ときおり強い風にあおられて、隣の車線まで飛ばされそうになる!
眠気は吹っ飛び、ハンドルを握りしめた。

三ケ日ICで東名を降り浜名湖沿いに南下して、最初に見た海は・・・
オンショアがビュービューで海面はグチャグチャ、あちこちでバッッコーンとスープが炸裂している!
土砂降りのビーチには 当然、誰もいない。
いやー、まいったねぇ・・・と、海を後にして西に向かい、名古屋市内のサーフショップにご挨拶に行く。
途中で立ち寄ったうどん屋さんの八丁味噌(赤だし)の煮込みうどんは、ご当地グルメの代表、
汁 一滴残さずに完食。ごちそうさまでした!

翌、日曜日には雨がやんで晴天になったが、猛烈な北西風が吹き荒れて半端ない!
やれやれ、よりによって今日から冬型気圧配置がバッチリ決まってしまったのだ。
11月20日、例年通りに冬は来た。






  パドボキャンペーンカー、運転席からのぞいている、とがった黒い耳は
キャンペンギャルのグッコリーナ


伊良湖

ロコポイントにはダブルオーバーの波があり大勢のサーファーが集結しているのだが、オフショアが強すぎて、まともなサーフィンにならないようだ。ワイプアウトとともにショートボードがひらひらと、まるで木の葉のように宙を舞っている。
パーキングエリアでは、ハイエースを激しく揺さぶるブローに、キャリアベルトを緩めることができず、パドボを降ろすことは
まったく不可能。そんなことしようものなら、あっという間にバラバラに吹き飛ばされてしまうだろう。

知り合いのローカルに電話して「どこにいるの?」と聞いてみると
「今日は日本海。せっかく来たけど全然良くない・・どこもダメですわ」とのこと。
「こういう日は鎌倉が良いのだよぉ〜」と心の中で思いながら、
まぁ、のんびりと行きますか・・・と、周辺のサーフポイント探索を開始。
渥美半島を隅々までウロウロと走り回り、海岸へ至る道を ひとつひとつ、丹念に探った。
お陰さまで、チョット渥美半島「通」になりましたよ。 北西風を微妙にかわす場所もわかったしね。



             ここは太平洋の外海に面して波が荒いところ。
           消波ブロックの上に太さ1.5m、長さ10mほどの巨大な丸太
           が打ち上げられていた。これを人力で動かすことはできない。
           いつか再び波がさらってゆくまで、ここに鎮座するのだろう。
           自然の力の偉大さを感じる。


渥美半島

渥美半島は、愛知県豊橋市と田原市からなり、三河湾を抱える左腕のようだ。(右腕が知多半島ってか)
東西にまっすぐに伸びる幅5〜9km、長さ50kmにも及ぶ半島の最先端が 伊良湖岬。
南側が太平洋で、北側は三河湾を挟んで名古屋市街地を望む内海になっている。
地形的にはそのほとんどが丘陵性の洪積台地(古代に海底に堆積した地面が隆起した)であり、広く農業に利用されている。
また川筋を中心に谷底平野を形成する沖積低地(侵食されてできる)が、各所に発達していて、このような地形に沿って 
海岸に至る細い道路が存在するが、注意深くないと見落としてしまうだろう。
どこも同じように、左右にカーブしながら急な坂道を下って海に出ると、数台分の駐車スペースがあり、漁船があり、公衆トイレがあり、そして波がブレイクしている。

太平洋に面し、ほぼ垂直にそびえる海食崖は風雨に削られ、果てしなく崩れながら豊富な砂を供給し、遠浅な海岸地形が形成する。そのおかげで水深の浅いところに、発達したサンドバーが並んで点在し、うねりさえあれば どこにでも波がある。
ほとんどのポイントはサンドボトムだが、直線的な砂浜海岸のところどころ、海に張出した場所は岩礁海岸となっている。
海に出て陸を見ると 荒々しい崖面が延々と続いており、どこか、日本離れした風景だ。

東側を眺めると、大海原の向こうに遠く市街地が見える。
冬の北西風に空気が澄み渡り、浜松駅に近いアクトタワーが、まるで幻のバベルの塔のように屹立している。
ここから見通せる陸地の先端が天竜川の河口にあたるはずだ。
天竜川の水系には標高3000m級の急峻な山々がそびえ、その河口には、川から運ばれた大量の土砂が堆積し、遠州灘一帯の地形を形成する基になっている。

総じて60〜70kmの遠州灘 大遠望だ!!!  
広大な景色の中を 漂々と風が吹きぬけて行く。 この風が沿岸流を起こし、砂を運ぶのだ。
この自然の仕組みに人為は及ばない。

  





居並ぶコンクリート塊は、いったい何を守っているのだろう???




 広い砂浜のところどころには豊かな砂丘が形成されていて、海亀が産卵することで有名なのだが、延々と続く海岸線に
果てしなく消波ブロックが並んでいる。 これらのコンクリートに どれだけの意味があるのか? 
この太平洋岸に、消波ブロックは全部で何個あるのだろう? これにどれだけの税金が注ぎ込まれたのだろう??

車のナビゲーション表示では、ここは海の中

 

地図にはない道を行く、Wild Wild WEST ! 

 それにしても渥美半島は、どこでも釣り人がいる。
ひろ〜い海岸のどこまでも、どこまでも、等間隔に釣り人が並んでいる・・・・サーファーより絶対数が多いよね。
ほとんどの人たちはキスやボラがターゲットらしいが、夕方、とあるところでパドボしていた私の横で、哲はヒラメを釣った。

  

その夜、寿司屋に持ち込んで美味しくいただきました。
ごちそうさま!

御前崎

今週の水曜日は「勤労感謝の日」で祝日。
150号線を東へ向かい、御前崎へ。
御前崎は駿河湾の西の最果てにあって東に延びる岬で、その西側が遠州灘と呼ばれる長い海岸線の基点になる。


本日は半袖のTシャツでも過ごせるぐらいに暖かい休日なのだが、観光客は少なく、ビーチはガランとして寂しい・・・
なぜかサーファーもウインドサーファーもほとんどいない。

「輪番停電」とか「節電」とかの影響で、各工場が休日稼動になったこともあるのだろうが、
3月の震災後は、本当に海がさびしくなってしまったのだ。
やはりあれだけの「津波の映像」を見せつけられると、海が楽しくなくなってしまうのが人情だろう。
海岸はお父さんが一人で釣りをしに行くところで、家族で遊びに行くところではなくなってしまったようだ。
東海・東南海地震が来ると警戒情報を流すのはもっともだが、海周りの民宿や飲食店や観光施設などは、
そのおかげで衰退の一途をたどるしかない。
これも風評被害のひとつの形態なのかもしれないが、残念ながら補償云々と言う事柄には値しない。

サーフィンをはじめマリンスポーツ業界も他人事ではなく、何らかの方法で自衛するしかないのだ。
きっぱりやめるか、攻めにいくか。 守るものはない。
儲けだけを目的とする利己的な-業者は早く降りたほうがいいね。
リスクをとらない無責任なネット販売屋は、業界自体をリスペクトしないので相手にできない。
パドボ事業部は、本物のサーファーと、地域に根ざした本当のサーフショップとの、本音のお付き合いができて本望だと願うのである。



さて、坂下ポイントを見てみると、ハラ〜ムネのスモールコンディション。
朝のうちに5〜6人のサーファーがいたが、10時を過ぎると上がってしまった。
ギャラリーはいないけど形が良い波だし、あまりにも もったいない!
と言うことで、入水。  ファンウェーブを乗り放題でごちそうさまでした。



この日は浜岡原子力発電所のそばで一泊。

浜岡原発も廃炉になるらしい・・・ また 地域の人口が少なくなるのだろう。
廃炉の過程に何年もかかるが、施設を取り壊してレジャー施設やマンションができることは永久にないのだ。 狭い国土において、何と言う効率の悪さだ!

原発の建屋の壁面や、廃炉になった全ての施設に、せめて、ソーラー電池パネルを並べて、太陽光発電施設にしときなさい!!

  翌日はまたも風。「遠州の唐っ風」と呼ばれる冬の西風だ。
久しぶりに御前崎名物の重たい風を感じ、小さいセイルのカッ飛びウインドサーフィンを見せてもらった。
この時代にしっかりと取り組んでいるのが本物の証拠なのだ。がんばって続けてもらいたい。
君たちのような好き者を心底、応援するよ!!!




 浜松 

好きものの一人
TAKIさんは、浜松を拠点に活躍する日本を代表するサーファー。
1968年からサーフィンを始めたという。
ショートボード、ロングボード、ウインドサーフィン、スノーボードとその活躍は広く、その全てのスタイルにおいて発展普及の道筋を開いてきた本物のレジェンド。
この取り組み方は「オクダスタイル」とも通じ合う。
63歳を超えてまだまだチャレンジ精神が盛んだ。
TAKIさんも 21世紀は、PADOBOでGO!!




静岡県は広い。
伊豆半島から駿河湾を抱え、その西側には御前崎から浜名湖までの海岸線を有している。
その後背地には見渡す限りの平野が広がり、その奥に南アルプス連山が控える。
山の水が谷を下る川の流れは、いくつもの川筋を形成し、大量の土砂を押し流しながら やがて海に注ぐ。
川から押し出される堆積物と、渥美半島からの強い沿岸流の影響で 「遠州大砂丘」と呼ばれるほどに砂丘が発達している。
各所、幅10m〜200mにも及ぶという砂丘から、田畑や市街地に押し寄せる飛砂(ひさ)を防止するための海岸防災林として、
昔から営々と松が植えられてきた。 「浜松」という地名のとおり、白砂青松(はくさせいしょう)とは、まさにこのことだ!

さて、浜松と言えば、うなぎと浜名湖。
都田川のいくつかの水域を統合した総合的な名称としての「浜名湖」は、日本で10番目に大きい湖であり海とつながる。
真水と海水が混ざり合う汽水域(きすいいき)として国内で最も長く、湖でありながら潮の干満がある。
ウナギやスッポン、カキやノリの養殖に利用されているのと同時に、沿岸はリゾート開発が進みマリンスポーツも盛んだ。

この日はひとまず海から離れて内水面を見に行く。
「波は無くてもサーフィン感覚」は、風と波の荒い遠州灘の地域で、初めてパドボに乗る人たちのために、ゲレンデを用意することが肝心だからね!

あまりにも有名な浜名湖は置いといて、今回はその浜名湖と河川でつながっている「佐鳴湖」に行ってみた。
案内してくれたのは地元の名士、TAKIさん。昔からいろいろな地域奉仕活動をしている、サーファーのお手本のような人なのだ。


佐鳴湖は湖全体がボート競技の「漕艇場」として運用されているというのがすごい。
立派な艇庫施設があり、広々として使いやすい桟橋が整備されている。
また湖岸が公園として綺麗に整備されていて、とってもおしゃれなリゾートを醸している。
周遊路にはランニングやウォーキングをする人、散策する人、犬と散歩する人たちが大勢いて、パドボを初めて見たと言うご近所さんが、珍しげに話しかけてきたのが楽しかった。
鎌倉でも最初はこうだったな・・・そのうちに珍しくなくなるでしょ。たぶんね。

佐鳴湖公園

佐鳴湖漕艇場
へぇ、こんなとこがあったんだぁ・・・

  

菊川

御前崎と天竜川の中間にあるのが菊川。
流域は島田市、御前崎市、菊川市、掛川市にまたがり、その水系の多くの支流を集めて海に注ぐ。
この河口にかかる「潮騒橋」は、平成7年に完成した世界初の「連続上路式吊床版橋」という工法(つまり逆アーチ)だそうで、
日本土木学会の田中賞を受賞しているそうだ。
日本の建築は最高の技術を世界に誇る。その中でも権威ある賞を受賞しているということは、これは見に行く価値がある。
自転車と歩行者のみが通行可能な橋梁のデザインは凛として美しく、その大きさも国内最大ということだ。







航路高が10メートル弱というから、津波来襲時にはここに上って、
欄干にしがみつくしかないかな。



この菊川河口がスタンドアップパドリングのホットスポットになりつつあるようだ。
河口は砂州が発達していて波打ち際までが遠い・・・深い砂を踏んでボードを運び、パドルを運び、ウエットスーツに着替えて、
もう車に戻るのはめんどくさいと、コンビニで買った昼ごはんも持って行った。


この日は小さかったけど乗れる波が豊富にあって、丸一日、パドボで貸しきり状態だったね。
河口のチャンネルは複雑で、ブレイクはランダム。
その少し西にはサーフポイントらしきブレイクがあって、2〜3名のサーファーがいたが、ほとんど動きがない。
今日は、河口でしょ!

河口の浅瀬で、巨大なシーバスを目撃!
ここで、今回のツアーで初めてパドボトフィッシングしている人に出会った。今朝は大きなコチが釣れたそうだ。


御前崎を拠点に活躍するプロウインドサーファー、石原智央氏が2年前にオープンしたウインドサーフィンショップ「RIPPER」が近所にあり、釣り道具をレンタルできる。
釣った魚を食べさせてくれる民宿も紹介してくれるそうだ。



              本日はお天気に恵まれて、夏のように青い空に白い雲が
             のんびりと流れてゆく。
             ひろい景色の中に風量発電の巨大な風車が並んでいる
             この広大さに、距離感が麻痺する。

「遠州よいとこ 一度はおいで」

最終日は、渥美半島の付け根になる、潮見坂のポイントで、TAKIさんチームのみんなでパドボ
海上に人が立っている、こんなのここでは初めての景色。
沖にはミズナギドリの群れが飛んでいた。
夏には砂浜でコアジサシが繁殖し、秋には渡り鳥が多く見られる。タカやサシバなどの猛禽類も見られるということだ。




遠州灘にはサーフポイントが無数にあって、誰もいないブレイクが山ほどある。
パドボなら、サーフポイント間の移動も楽々ですよ〜。
遠州灘沿岸は、アカウミガメの全国でも有数の繁殖地なのだ。
春から夏にかけて沿岸各地の砂浜に上陸して産卵し、50〜90日で孵化し、小亀が海へと帰ってゆく。
しかしながら上陸する個体数が減っているということで、環境保護団体や地元の個人のグループが、いろいろな努力をしている。
ウミガメのためにと、国内で初めて、消波ブロックが撤去された事例もある。
サーファーの皆様も、夏の夜中に海岸を自動車で走ったり、花火をしたりなど、絶対にしないようにしてくださいね!



さてさて、
今回旅した渥美半島の先端から御前崎に至る遠州灘は、その距離にして110キロメートルにも及ぶコーストライン。
この9日間に西へ東へと PADOBOがドライブした総距離は、1460kmに達したのだ。
景色は良いし、波はあるし、ご飯はおいしいし、温泉は豊富だし、お手軽なサーフトリップに、もってこいです!!


今回のキャンペーンでお会いした皆様と楽しい時間を一緒に過ごすことができましたことに、まずは、心より御礼申し上げます。
ピッコロさん、日比野さん、河合さん、毛受さん、石原君、のりこちゃん、TAKIさんをはじめ
あらなみポイントで 「一度やってみたかった!」 と、風にもめげずトライした消防士さん
潮見坂ポイントで 「なにこれ、むずい」 と言ったショートボーダー君、
菊川で 「2本目を買うときは、これだ!!」と、高く評価してくれたパドルボーダーさんや
そのほかにも多くの皆様が、PADOBOに試乗してくれました。本当にありがとうございました。

またお目にかかれますことを楽しみに、
また来年、PADOBOは遠州灘への再訪をお約束いたします。
次回のキャンペーンもこのホームページ上で予告しますので、見つけてくださいね!
よろしくお願いしま〜す!




          太平洋に面した長い海岸のどこにいても 夕日が海に沈む
          遠州灘のサンセットは 本当に素晴らしい。
          日常では雑事と生活に追われてしまう この時間帯を
          のんびりと 夕日を眺めることができたことに幸せを感じた
          今回のツアーだった!!


                                「おぉ、垂れる、垂れる・・・」


            

 



キャンギャルのグッコリーナ嬢は、ずっと車中泊を初体験。
毎日、広い砂浜を自由に走り回って、暗くなったら、パッタリと電池切れ・・・
タオルを入れたバケツベッドがお気に入りな様子でした。
楽しかったね!
また来年も一緒に行こうね!




 

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